大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和30(あ)3538 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人武藤運十郎、同塚原豊喜の上告趣意第一点について。

記録についてみるに、被告人は昭和三〇年四月二七日第一審裁判所において有罪

判決の言渡を受けるや、同日直ちに控訴を申し立て、翌二八日には、被告人が本件

につき弁護士池谷信一を弁護人に選任する旨の被告人及び弁護士池谷信一各署名押

印の弁護人選任届を原審宛に提出し、原審は控訴趣意書差出最終日を昭和三〇年七

月一一日と指定し、右控訴趣意書差出最終日の通知書を同年六月一〇日被告人及び

弁護人に送達を了し、右弁護人は同年七月八日控訴趣意書を提出し、原審は控訴趣

意書差出最終日を経過した後である同月一六日に公判期日を同年八月一三日午前一

〇時と指定し、右公判期日の召喚状は同年七月一九日被告人に、また、右公判期日

の通知状は同じく七月一九日弁護人にいずれも送達せられたものであるが、弁護人

から、原審の指定通知にかゝる昭和三〇年八月一三日の公判期日には、既に七月一

六日静岡簡易裁判所において同人が弁護人となつている刑事事件の公判期日が同年

八月一三日午前十時と指定されている旨の右裁判所の証明書を添えて公判期日変更

申請が同年七月二二日になされ、その後八月六日付書面を以つて、弁護人池谷信一

を解任する旨の被告人及び右弁護人の署名押印ある弁護人解任届が同月八日原審に

提出せられ、かつ、同日被告人より国選弁護人請求願を提出されたので、原審にお

いては、八月一三日に弁護士中川兼雄を弁護人に選任し、八月一三日の原審第一回

公判には、被告人及び右弁護人中川兼雄出頭し、右弁護人は弁護人池谷信一作成名

義の控訴趣意書に基き弁論をなし、検事のこれに対する意見の陳述があり、判決宣

告期日は同年八月三〇日午前一〇時と指定告知されて、同公判の審理手続を了した

ものであるところ、判決宣告期日の前日である八月二九日に至り、被告人及び弁護

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人武藤運十郎、同塚原豊喜連名の同日付弁護人選任届を添えて右弁護人両名から弁

論再開申請がなされ、八月三〇日の第二回公判において、弁護人塚原豊喜より「情

状の点につき上申したいことがあるので判決宣告を延期して戴きたい」との申請が

あり、公判期日変更決定がなされ、判決宣告期日は同年九月二七日午前一〇時と指

定告知されて右公判は終結し、九月一九日に弁護人両名から上申書(内容は情状に

関するもの)が提出され、九月二七日の第三回公判において、(被告人、弁護人塚

原豊喜出頭)裁判長は弁論再開の請求を却下する旨の決定をなして、判決を宣告し

たものであること本件記録に照らし明らかである。而して、判決宣告するまでの間

被告人及び弁護人より何ら、裁判所乃至裁判長の措置につき異議を申述する等のこ

となく経過したものであることも明らかである。

以上の経過事情に徴すれば、所論は単に違憲に名を藉り、理由のない訴訟法違反

を主張するに過ぎないものというべきである。而して控訴趣意書差出最終日を経過

し、且つ原審における八月一三日の公判期日(弁論期日)における弁論も終結した

後、一ケ月余も経過した九月一九日に弁護人から提出した上申書につき、原審が判

断を下さなかつたことを非難するが如き、刑訴法、刑訴規則に照らしても、全く理

由なきものといわなければならない。

同第二点について。

所論は原審において主張し得たにも拘らず、何らの主張もなさず、従つてまた原

審の判断を経ていない事項につき違憲違法を主張するものであつて、適法な上告理

由に当らない。

同第三点について。

所論は単なる事実誤認、法令違反の主張で、適法な上告理由に当らない。

また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお

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り決定する。

昭和三三年六月四日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

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